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2008年01月17日 【レポート

現地Drレポート 中国歯科業界事情

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デンタルショーの会場を後にし、現地で現役の歯科医師、兼㈱トクヤマデンタル中国主席代表でもあられる金先生にお話をうかがったところ、中国国内の歯科医療事情とともにデンタルショーで感じた「新しい情報が少ないなぁ~」の理由をうかがうことができました。

金先生はDrと企業の代表と両方の顔をもたれてるせいか、先生なのに非常に丁寧で物腰が柔らかく(低く)ざっくばらんで博識。日本では広島歯科大学の大学院に留学され、現在は中国にてお仕事をされています。
いろいろな情報をもっておられ、それをまたいろいろな立場から客観的に分析されビジネスに生かされており絶妙なバランス感覚と雰囲気をもたれた非常に魅力的な方でした。しかも、お若い(驚)

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上海デンタルショー会場周辺

【困難!!薬事認証取得】

金先生のお話によると、実は中国は世界の中でも1、2位を争うくらい薬事認証を取得するのが難しい国といわれているそうです。
欧米と比較すると最新のものが2年遅れて中国に入ってくるようです。
また、日本の厚生省では自由診療において国内で認可が下りていない材料についても医師個人の裁量により、輸出、輸入が可能とされていますが中国では医師個人の裁量だけでは未認可の材料は絶対に取り扱えないのが決まりとなっています。

街に出れば海外キャラクターのパクリものが普通に売られちゃっている国のお役所にしては厳しいなぁ・・・
意外でした。

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薬事認可取得が大変手間と時間とお金がかかることは少なからず同じですが、中国では一度認可された商材の更新手続きが初申請のときと同じくらいの労力を要することも新製品が国内に入ってきにくい原因のひとつといわれています。更新手続きの準備期間は約2年。2年前から準備をし始めなくてはならないのです。

ということは、扱う商材が多ければおおいほど手続きに追われてしまうということになります。
常に取得手続き・・・
通常の業務を圧迫してしまいかねない手間と時間。
ですから、薬事認可取得と更新を生業としている企業に委託するのが通例化しているのでしょうね。

中国全土の人口は日本の10倍ちかくですが、歯科材料の消費量は日本全体の8%に満たないそうです。
ということは、これから日本の10倍のマーケットが目を覚ますという可能性があるということですよね。


【患者さん・Dr・技工士それぞれのデンタルIQ】

一般的な歯科医院での患者さんのデンタルIQはまだ、低く「痛い歯だけできるだけ安く治してください。それ以外は触らなくていいです。」というように主訴のみを治療して欲しいという人がほとんどでエステティックや予防にお金を費やすという価値観がまだ薄いとのこと。
Drの身内であってもこのような価値観を持っているのは普通のようです。

金先生は現在上海近郊のビジネス街の日本の法人の歯科医院で勤務をされているのですが、中国国内の平均的な技工のレベルの評価としては安価だがミクロン単位のニーズに応えるだけの基礎教育がない。と、いうのが現場のDrとして正直なところのようです。しかし、中国は値段や量の競争では非常に強いですね。
なので、自費治療の補綴物は日本に依頼することになっているとのこと。

現地では技工士にミクロン単位の調整力を仕込むだけの教育の場がないことと(先生いわく)大雑把な国民性も補綴物の精度へ大きな影響を与える一因となっているそうです。
もちろん全ての技工士がそうではありませんが相対的に見たときに大多数がそのようなレベルにあるとのことでした。

確かに、海を見る機会がない人にいくら口で海を説明しても、海のディティールを絵で再現するのは無理がありますよね。

社員教育でもそうですが、現物ややり方をまず見せてイメージをわかせないと形になっていかない。そしてできるまで指導していく必要があります。

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しかし、中国のDrと技工士の間の価値観としてはある意味一致しているので現状の取引がなりたつとのこと。
Drの間ではこれから接着システムなどの勉強がまだまだ必要な状況。
現在の中国歯科業界にとって国内で高い技術を学べる場が本当に必要で大切だという気持ちがとても伝わってきました。
どちらかが現状のレベルの一線を越えて、高い要求をし始めれば自然と業界のレベルが上がっていく。

金先生のように自国だけでなく、他の国の歯科業界の事情やレベルを肌身で感じ客観的に比較できる先生は国内でも決して多くありません。
また、先生はDrという目線のほかにビジネスマンとしての目線も持ち合わせており(実際に会社を運営されているんですが)このようなバランス感覚をもたれているDrは本当に稀で私にとって貴重な出会いだったと思います。


【中国歯科医師免許取得制度】

驚いたのは中国では歯科医師免許取得制度が制定されたのは1999年でほんの10年ほど前。とのこと!
それまでは大学・短大卒して数年ほど歯科医院でOJTを経験し、歯科医師として診療をすることが可能と判断されれば歯科医師として認められたとのこと。
現在は日本と同じで大学卒業後国家試験を通ってなければ従事できないことになっています。
日本の歯科医師免許をもっていれば、書類の申請と毎年の更新手続きをするれば現地で歯科医師として働くことができるそうです。特にこれといった試験もなく、アメリカで開業・勤務するよりは簡単のようです。
まだ少ないですが、金先生の知っているだけでも数人は日本人の先生が上海で活躍されているとのこと。


以上のように上海デンタルショーでレジンやセメントのディスプレイが多く目立ったのは、中国歯科市場の事情があわられた結果でした。


今後中国の市場が開けてきて、新しいものがどんどん認められていけば材料や器材にしても日本の10倍以上の需要が出てくるかもしれないんですね。それだけの種が中国には眠っているということです。
このところ中国経済は急成長・急発展をとげ、何気なく上海のホテルの窓から外を眺めれば、あらゆるところにその結果を見ることができます。

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上海市内の夜の街並み

結果としていいことばかりではないけれど、そのパワーは本当に凄く、恩恵は多大なものです。
今回中国歯科業界についてほんの一部ですが現場の目線からお話をうかがうことができて、今後の中国歯科業界の発展と動向が非常に興味深く、世界へ向けての活躍に期待です。


ナノジルコニアのベルザ



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