ドイツ研修 Vol.4 歯科医院 見学編
ドイツ研修ツアーも終盤に差し掛かった5日目の午後には歯科医院を見学させてもらいました。
Lingweiler氏のラボから車を少し走らせた、閑静で趣のある町並みに溶け込むように歯科医院が入っている2階建てのレンガ造りの建物が見えてきました。歯科医院はその2階。
屋根は三角で天井が高くて、港にある倉庫によく似た形で面積は”家”だとしたら広すぎるくらい。
横浜にある赤レンガ倉庫を思い出しました。(実際は赤レンガより全然きれいな建物ですよ)
2階の玄関をくぐるとホテルのクロークのような重厚でいてモダンな感じの受付が広がっています。
床や柱に木をふんだんに使用していて、空間としては凛としているのに暖かい。そして、うまい具合に力が抜けている。そんな感じがしました。
(今回はお会いできなかった)院長先生の人柄もこんな感じなのかなぁと思いながら室内を眺めていました。
クリニックの受付 マイスターの大畠氏(左)とLingweiler氏(右)
三角屋根の2階の部分なので壁が斜めなのです。間接照明と家具が非常にマッチしていてホッとする空間を造りだしていました。
この日はクリニックの先生が用事で外出されていて、院長不在でスタッフのかたに案内していただきました。
スタッフがみんな格好良いんですね~☆
下は白のパンツに、上は丈が短めのシャツを襟を立ててカッコよく着こなし、腕を上げるとチラリとキレイなウエストが見え隠れするんです。
同姓の私ですが思わず見入ってしまいました。かなりキャリアのある年齢の方でも、着こなしていましたよ~。
根本的に手足の長さが違うんですが、ブロンドの髪をルーズにまとめ上げている姿はDHというよりスポーツ選手(イメージはテニスのシャラポア)という感じでした。
クリニックのユニフォームがスポーツウェアに見えます。
次に案内されて通されたのは、患者さんの待合室。
患者さんの待合室 クリニックの診察項目を表記したプレート
テーブルの中央には陶器の巣ごもり卵が♪
ここも屋根の形の設計上、壁が斜めになっています。
クリニックによくある、受付と同じ空間に待合室があるタイプの造りではなく、完全に別の部屋となっているので自宅のリビングのような雰囲気がしました。
いろいろなオブジェクトや絵本が置いてあり大人も子供もゆったりくつろぎながら診療を待つことができそうです。
受付ホールの壁には電飾のオブジェクト 医院の廊下
写真では見えにくいのですが、右上の”医院の廊下”の写真の廊下の突き当たりの壁には、天井からのライトでプロジェクターのように女性の笑った口元が映し出されています。心霊写真じゃないですよ。
クリニックにしては長い廊下の奥を進むと診察室やレントゲン室、技工室が並んでいました。
ユニットがある診療室は4部屋で完全個室。
どの診療室も明り取りの窓が大きく設けられていて、自然光がたくさん入ってきます。
☆各部屋の入り口にプレートがある レントゲン室に衛生士専用の部屋もある☆
個室の診療室 セレックが導入されていました!
Lingweiler氏は「クリニックにセレックが導入されて僕の仕事が減っちゃったよ(笑)」と冗談ぽく笑っておられました。
複雑でないオールセラミックなら院内ですぐにできてしまうこのシステム本当に侮れません。
完成度はどのような具合か見ることができなくて残念でしたが、時間当たりの効率や、技工料や利便性などトータルで考えてみると評価は非常に高いようです。
技工室(左右写真とも) こちらも充分な広さがあり整理整頓されている
スリガラスにはクリニックのHPのアドレスが・・・ 色とりどりのカップ
カップはオブジェではなく実際に仕事で使用している。
診療室を一通り見た後は、最後に予防専門のカウンセリングルームに案内していただきました。
この部屋が、まぁなんというか、また素敵な部屋でした。広さもクリニックの中で一番大きくとってあります。
予防とカウンセリングにどれくらい価値を置いているかが自ずとわかります。
カウンセリングルーム ☆(左)(右)とも同じ場所から撮った写真ですが、照明によって雰囲気が変わる☆
カウンセリングルームの壁の電飾 入り口はこんな感じ
この奥のドアは予防専門の診察室につながっている
ドイツでは2005年に大幅な歯科医療制度改革があり、それに伴い歯科診療にもこの2年間で大きな影響を及ぼしているといわれています。
規制があまりにも多くなってきてしまって、結果として患者さんにとって好ましいとはいえない面も出てきてしまったといわれている。
そんな中で、歯科医師と歯科衛生士、歯科技工士の連携が以前よりもより重要になってきていると言われています。
多くの規制があるなかで、3者が対等の立場で、個々の患者さんに合わせてベストの仕事をするというパートナーシップの意識は日本に比べると遥かに浸透しているように感じました。
というより、根付いているという感じなのでしょうか。
これは、国の制度による違いだと思います。ドイツの職人制度の厳しさが、ドイツ国内においての歯科技工士の現在の地位を確立させた大きな要因だったと考えられます。
仕事の進め方を見ても、コミュニケーションの取り方を見ても、『歯科技工は下請け』という意識が元々ないように感じられます。日本もだいぶ薄れてきたとはいえ、その感はまだまだぬぐいきれてません。
保険点数制度改正などで歯科医院もラボも経営が難しくなってきた日本。
医療制度改革により規制が増え、診療を進める上で重要度が高い治療ほど施術に回り道を強いられるようになってしまったドイツ。
お互いよい点もあり、学ぶべき点がありますが、これだけ背景が違うとお互いのよい点を自分の国の制度や経済、文化に噛み砕いて導入していく必要があるなぁ・・・思いました。
国の制度によって本当に問題は様々です。もちろん共通する点もたくさんありますが。
今回ラボと歯科医院の両方を見学したがゆえに感じることが出来たことでした。
【ナノジルコニアのベルザ】